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執筆者の写真田中 利幸

変えられるのは自分だけ~伝える心~


私達の稽古では、自己を整え続けることをテーマにしています。

姿勢を整えるには、ハラを中心に上下に精一杯伸ばす意識をもつこと、

脱力するには、ハラを極めることで他が脱力できる様になること、

呼吸を整えるには、ハラで吐き、ハラで吸うことを大切にしています。

これらは全て自分の内面のことで、自己で操作できる項目です。

合気道の稽古には相手役がいます。

しかし、相手をああしてやろう、こうしてやろうとすれば、そのことにとらわれて自己の乱れに気が付かなくなります。

相手は自己の周囲の環境の一部でしかなく。

同様に、私は相手の環境の一部でしかありません。

例えば、相手に上手になって欲しいと思うなら、相手に口で教えるのではなく、私自身が自己を整え最高の状態で相手のパートナーを務めることが大切です。相手にとって良い環境となるためです。教えてやろうとか、強さを見せつけてやろうという雑念は既に私を乱れさせていることに気が付かなければなりません。それは相手にとって悪しき環境です。

稽古相手に、教えたがる相手が現れたら、その言葉を聞くよりも、その場に置かれた自身の姿勢・脱力・呼吸を整えて、できることを次々に留まらず行えば良いのです。その相手は周囲の環境の一部でしかなく、その一点にずっととらわれる必要はありません。

同じことが子どもの指導でも当てはまります。

子ども達に挨拶や礼儀や言葉遣いを伝えたければ、私達自身がそれを精一杯実践すれば良いのです。私達から子ども達に挨拶し、礼をし、正しい言葉で語りかければ良いのです。今すぐにそれができなくても、子ども達はその姿を忘れず、いつかその時が来たらちょっと真似してみるのかもしれません。「伝わる」というのはそのくらい緩やかでちょうどいい、そんな風に思います。

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