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武道を習うということ

●武道のイメージ

 「武道は恐いもの」と感じている方も多いのではないでしょうか?

 (A)

  ①大きな気合や挨拶、返事

  ②厳しい指導

  ③痛い

  ④勝負の勝ち負け

 

 また、こどもに武道を習わせる理由として、次の様な理由があるかもしれません。

 (B)

  ①礼儀正しくなってほしい

  ②なよなよしないでシャキッとさせたい

  ③人の痛みが解るようになってほしい

  ④強くなって、いじめられない子になってほしい

 この(A)(B)の①~④の要素を次の様に見方を変えてみると次の(C)の様に趣が変わります。

 (C)

  ①稽古相手に感謝する

  ②姿勢の重要性等、正しい心技体を得る

  ③痛みが伴う稽古には限界がある

  ④自己を見つめる

 

 私の指導では、この(C)の様に考えて稽古を進めております。

 ①稽古相手に感謝する

 合気道では稽古相手と稽古の初めと終わりに礼をします。なぜ礼をするのか、その礼にはどんな意味がこもっているのかをこども達と一緒に考え、伝えていきたいと考えています。

 ②姿勢の重要性等、正しい心技体を得る

 合気道では姿勢を重視します。当会では、毎回稽古の初めに正しい姿勢を確認します。力みの無い正しい姿勢は、すがすがしく開放感のあるものです。逆に、緊張して力んだ状態で背筋を伸ばしている姿勢は良いとはいえません。

 合気道では「エイッ、ヤー」等の気合を出すことはありませんが、正しい姿勢には自然と気勢・気魄が宿り、必要に応じて気合が発することもできるのです。

 筋力だけにたのむ力ではなく、正しい姿勢、力を抜いた姿勢から出る力を理解し体得していただきたいと考えています。

 ③痛みが伴う稽古には限界がある

 痛い稽古を何回も繰り返すことは困難で非効率なだけでなく危険です。また、痛みは人を固くします。これもよくありません。痛みと同様に、恐れ・怒り・疑い・戸惑い等の心理も人を固くします。武道は、こういった状況から自由になるためのものです。

 痛いこと、恐いことをしていることが強いことであるという勘違いをしている稽古を見ることが有りますが、痛みや恐怖というものはそもそも無理をしていることを示しているのであり、その様な状況に陥らないことの方が大切なのです。

 ④自己を見つめる

 合気道は「動く禅」と例えられます。稽古相手を前にしたときに起こる、自己の姿勢の崩れや心の乱れを自ら観察し整えることを重視します。相手に勝つのではなく、己に克つことです。

 そこから、武道で重視される、捨身、無心、自然体を探っていきます。

★そして、最終的には本当に自由な自己表現ができるようになり楽になって欲しいと願っています。

  

 当会では、基本的には、こども達に、大声で厳しく指導したり、大きな挨拶や返事を強制したりはしていません。それよりも、その子なりの自信と笑顔を育てたいと考えています。

 合気道を通して、こどもの自己肯定感を高め、その子の笑顔が増えれば、礼儀や挨拶というものはその子のペースで自然に身についてゆくものと考えています。

 こども達は日々驚くほど成長しています。そのひとりひとりが柔らかくて脆く多感な心をもち大きな可能性を秘めているのだと思います。そんな彼らがこどもで居られる大切なほんの一時を、共に過ごせる時間は私にとって宝物だと感じています。(田中 利幸)

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