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執筆者の写真田中 利幸

上達と下達


 合気道は、ただ稽古すれば上達するというものではなく、その稽古でおこなっていることが身につくのであり、そのおこなっていること自体が正しくない動作であれば、正しくない動作が身につくことになります。これは上達ではなく下達です。下手になる努力をしていたことになります。では、何が正しく、何が正しくないのかが問題になります。

 ところで、合気道の動作のほとんどは、健常な方であれば誰でも行える簡単な動作ばかりです。立つ、座る、歩く、礼をする、寝転ぶ、起き上がる、手を挙げる、下ろす、ものを拾う、頭を掻くなどなどです。合気道では体操競技のように超人的な動きをする必要はないのです。

 では、誰にでもできる簡単な動作を繰り返し繰り返し稽古することの意味は何でしょう。

 正しいとはどういうことなのか?

 だれにでもできる簡単な動作を如何に行えばより正しいのか?

 そのヒントは、常に自分の内面にあるように思います。

 誰にでもできる簡単な動作を、何度も何度も、ゆっくりと丁寧に楽に行いながら、自分の内面に向き合う、自分の美意識と向きあう、その過程でその簡単な動作の内面が変わってくるのではないかと思います。

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