段位や経験にかかわらず、私達の皆がはじめから平等に持っている選択肢があります。
それは、「何もしない」という選択肢です。
何かしている状態から「何もしない」状態へ移行することを「やめる」といいます。
稽古の初期の段階では、「何かする」ことを懸命に鍛錬しがちです。
多くの型や技を習得すればする程「何かする」という選択肢は増えていきます。
それに対し「何もしない(=やめる)」という選択肢は1つです。
数学の「0(ゼロ)」と同じ様なものです。
「何もしない=0」の価値は、「何かする=1~∞」の価値に匹敵します。
「何かする」稽古を沢山積んで多くの選択肢を得ても、この「何もしない」・「やめる」という選択肢を忘れているとしたらもったいないことです。
稽古といえば、何かのやりかたを練習するものと思い込んでしまうと「何もしない稽古」という発想へはなかなかたどり着けません。
「何もしない」という選択肢を出発点とし、
「何もしない」→「何かする」→「やめる」→「何かする」→「やめる」→・・・→「何もしない」
という発想で稽古を進めていくと、誰にでも取り組みやすく力みのない稽古ができると私は考えています。
(つづく)
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