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執筆者の写真田中 利幸

稽古の発想 ~その2『でたらめ』~

「何もしない」・「やめる」という選択肢に対して「何かする」という選択肢があります。


ではいかに「何かする」のか?


私達が「何かする」場合、なぜそれを行うのかという理由や、それを行うことでどうしたいのかという目的をもっていることが多いでしょう。


理由や目的があると、それが如何に合理的であっても、自由な行動を限定することにつながります。


相手が「打って来たから」「受ける」「かわす」「さばく」等は全て理由や目的といえます。


「何もしない」・「やめる」の次のステップは、理由や目的をもたず「何かする」というのが良いと私は考えています。


つまり、「でたらめに動く」ということです。


そうすることで、どれほど自分が自由に動くことができるのかを感じたいのです。


まずは1人ででたらめに動き、次に相手に掴まれたり打たれたりする中で、でたらめに動くのです。


でたらめが難しければ、日常の生活の動作のように動くのでもよいでしょう。


日常の生活の動作は、頭を掻く、物を拾う、壁のスイッチを押す、背伸びをする等々無数にあるはずです。


日常の生活の動作には理由や目的がありますが、相手が掴んだり打ったりしてきていることには関係がありません。


そうして様々な無数の動きを開放していき、その状況下での選択肢を最大数へ、最終的には無限大へと拡張していきます。


それはまるで、3角形→4角形→5角形→6角形→・・・→∞角形=円、と同じ辺の長さの中で面積が広がっていくようなものです。



そして、∞の選択肢である円は、実はゼロ角形と同じもの(∞角形=0角形)であり「何もしない」・「やめる」と同じ価値があると気付くのです。


ここで岡本太郎氏の言葉をご紹介します。


~・~・~・~・~・~・~

でたらめを

やってごらん。


口先では簡単に

でたらめと言うけれども


いざ、でたらめを

やろうとすると

それができない。

~・~・~・~・~・~・~


では私達は、無限の選択肢の中からどうやって1つを選択するのでしょう?

(つづく)


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