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執筆者の写真田中 利幸

東京稽古日記

更新日:2022年7月5日

7月2日「第弐回 合気道と日本武道文化祭・夏」に参加しました。

これはその日記。



【朝、8:30頃】

頂いたオリジナルTシャツを着て、張り切って会場へ。

東京武道館。

玄関がまだ開いておらず日差しの下で開場を待つ。

既に暑さに負けそうになる。

日陰を見つけたが全身を隠すに至らず逃げ場が無い。



【稽古開始まえ】

買い込んだスポーツドリンク4リットル。

すでに1リットル無くなりそうで不安しかない。

昨晩の別場所での稽古の疲労が残っているか。

昨晩も暑かった。



【1時間目 鳥谷先生】

この稽古のテーマは「挑む」と聴き、そうか私もいま挑んでいるぞと思う。

今日1日全ての稽古にでることに挑む決意であった。


「朝の初めなので準備体操のつもりでゆっくりやりましょう」との鳥谷先生の言葉に嬉しくなったのは束の間、始まってみると淡い期待をしていた自分に気付く。


1時間目でこの息づかいと汗でしのげるのか?


「挑む」のか?→いや「凌(しの)ぐ」だけでも→もう「過ごす」のでやっと


と、この時すでに心が崩れ始めていた。


暑い、せめてもの救いは、涼風がくる一角を発見したこと、そこに陣取る。


鳥谷先生の横面打ちの捌きで研究テーマを見つけたので、これは今後の楽しみとして、とにかく「過ごす」ことに専念。


しかしながら最後の10分、迂闊にももよおしてしまい我慢できないと判断し、お手洗いへ、よってこの時点で厳密には「全ての稽古にでた」とは言えない状況に。

トイレから戻ると、皆整列していて稽古が終わる様子、もう入れない。



【エキシビジョン 日置流印西派弓術】

弓道場へ赴くと、まずその的の遠さに驚く。自分が射っても届く気がしない。あたりまえか。

演武されるのはレアンドロ・ナポリターノ先生。

1つ1つの所作を大切に大切に静かに行っていく姿に心うたれる。

矢が放たれ、静寂を破る気合、魂が揺さぶられる様だ。


正座して拝見していると足の指がつった。

止むを得ずあぐらに。あぐらになろうよと周りの子らを誘う私。


綺麗なまなざしのレアンドロ先生との対話の時間があり、弓の「離れ」の心と合気道の「投げ」の共通性についてのお話に感銘を受ける。

やはり弓道は素晴らしい。



【2時間目 武田先生】

絹の布で優しく包まれる様な技に武田先生の人柄を感じる。

しかしなんだか皆さんちょっと起き上がるペースが速くなってはいまいか?

みんな乗って来たのか会場内に加速を感じるがそれには目を背ける。


命の危険を感じてマスクを外す。

徐々に「過ごす」という私の隠しテーマも危うくなっていく。

自分のペースを死守する決意。


それでも捨身技を見て、はしゃいで捨身技を連発する捨身技大好きな私。

「捨身技がちょっと危ないので変えま~す」と武田先生。

ごめんなさい。


完全省エネモードで遠い目をしてふらふらと稽古している私に「熱中症大丈夫ですか?」と優しく声をかけてくれた武田先生。

ありがとう。(あのとき私「大丈夫」って言ったけど、ほんとはそれほど大丈夫じゃなかったです)


もしかすると東京は酸素濃度が薄いのかもしれない。


見取りの受けに呼んで頂く、嬉しくもあり(体力が)不安でもあり。

(捨身技ではしゃいだおしおきかしら?)


この稽古のテーマは「方向性と空間感覚」でした。



【エキシビジョン 新陰流兵法】

食うべきか食わざるべきか。

昼食用に買っておいたおにぎり2つ。

新陰流を見たいし、おにぎり食べたいし。


新陰流を見る。


興味深くて面白い解説付きの演武の後に質疑応答。


秘伝の無刀捕の型を見たいという私の無茶な要求は軽くあしらわれましたが(秘伝ですから)、「転(まろばし)」については考え方や動きを見せて頂けて嬉しかった。

この時はまだ質問を投げかけるゆとりが辛うじて私に残っていた。


出演:大塚 俊明 皆伝 師範、矢口 邦雄 外伝 指導員



【エキシビジョン 小野派一刀流】

説明演武の後、鬼籠手の体験会。

本気で打ち込んでよいとの言葉に心が燃えたのが良くなかった。

威勢よく「御免!」と木刀を打ち込んだけれど鬼籠手の上でバウンド、ピタリと止まらなかった。

すぐさま講師の方にそのことをご指摘頂く。


おにぎりのことを思い出すが、時すでに遅し。


出演:海和 秀行 免許皆伝、高野 洋雄 免許



【3時間目 入江先生】

テーマが「合気道と呼吸法」とあるだけあって、入念な呼吸法から始まる。

すでにグロッキー状態で身体が冷えていた私の身体に徐々に元気が満ちてくるのを感じる。

呼吸法ありがたい。発声することで内部からほぐすというアイデアに感動する。

(音は振動なので、声を出せばその振動が体内を揺らしてほぐすと解釈)

ずーーーっとこれでいいですよ、呼吸法で、入江先生!と心の中でささやいたが届かず。


動き始めて間もなくしてグロッキーを取り戻してしまう私。


そういえば、この次の稽古で何をするのかまだ定まっていない私。

「皆さんの稽古に出させていただきながら考えよう」と楽観的だった私ですが、実際は「過ごす」だけで必死。

もう不安しかない。



【4時間目 わたし】

冒頭で笑いをとれず2度滑る。かえって開き直る。

訳あって稽古に「礼」を取り入れることがもう一つの隠しテーマになっていたので、それは早々に実現させておいた。

やりたいことはまだまだあったがどうも時間が足りない。慌て始める。

徐々に急ぎ足に。


時計を確認し、私の稽古終了。ちょっと尻切れトンボの感あり。

終了後、主催者より「利幸さん、10分早く終わっちゃってます」と告げられる。

なるほど、時間が足りないわけです。痛恨のミス。


主催者さん、参加者さん本当にごめんなさい。


あと、自分で考えたテーマなのにちゃんと覚えていなくてごめんなさい(皮肉にもこれで笑いをとれた)。


テーマは「ほぐし、練り、整え、調和する」でした。確か。



【休憩時間10分延長】

私のミスで休憩が延長された。この休憩に救われた人もいるはずと自分に言い聞かしながら、それは私では?と思う。

そのおかげで、懐かしいメンバーとおしゃべりしたり写真撮ったり。

急遽参加のOさんの到来には驚いた。

「キンッッキンに冷えた生ビール」呑みに行きたいねとOさんと話し、ほんとに行っちゃおうかしらと思う。



【5時間目 伊師先生】

なんだか気が付くと凄く人が増えている様な気がする。

既に体力は尽きている。(本当は気力も)

そういえば飲み物が足りないかもしれないことが気がかり。


この稽古のテーマは「静と動」


伊師先生ごめんなさい、私にはもう「動(力)」は残っていません「静」だけで許して、と思う。

動かないというより動けない。

”取り”はともかく”受け”だけでもとりきりたいと願う。のろのろだけど。


稽古終わりに、久々の背伸運動に悶絶するもちょっとすっきりする。

背伸運動すごい。


その後「ヘンな店」へは行っていないのでご心配なく、伊師先生。



【エキシビジョン 直元流大長刀術】

異様にデカいなぎなたが出てきました。

説明演武の後、素振りの体験会。

当然上手く振ることができない。

これ欲しいと私が呟くと、お隣さんが「でも車にのらないよ」と。

そのくらいデカい。


出演:矢吹 裕二 小野派一刀流 第十八代宗家、石崎 徹



【6時間目 山嶋先生】

泣いても笑ってもこれで最後の稽古。

若いころお世話になった(迷惑をかけた)Sさんと再会、お元気そうで何より、色々な懐かしい方の近況を伺う。

稽古開始後、見取りの時にススッととなりにSさんが座られる。もう嫌な予感しかしない。

当然の様にSさんと稽古。すでにボロボロの私は申し訳なくて「グロッキーです、すんません」とSさんに伝える。

そんなことを言って手加減してくれるようなSさんではなかったことをその後思い出す。逆にちょっとニヤけていらっしゃいませんか?

なんども時計を見る。

時計がぜんぜん進まない。もしかしてあの時計壊れてる?


相手を変わって、水分補給を申し出て、我がペットボトルの元へ急ぐ。


ペットボトル空っぽでした。さっき飲み干したんでした。


完全に心が折れた瞬間。


それにしてもこの日だけで5リットル以上は水分摂取している。

1日6リットル必要です。


あとはもう意識を保つのがやっと、正面打ちの見取りをしたのに片手取りをしてしまうなど、かなりあやふやな状態でただ過ごす。


山嶋先生が時折やってこられて仰ったことも本当はもう聞き取れていなかったことをここで告白しておきます。立っているのがやっと。本当に倒れそう。


そしてふと時計を見るとあと3分。


いいことばかりじゃなくていや~なことだってあったけれど、長かった一日もこれでいよいよ終わりです。

全日程参加という目標に対してマイナス20分(トイレ駆け込み10分+私のミス10分)の6時間40分をなんとかやり遂げました(自分の指導時間は入れていいのか)。


合気道の稽古は投げて投げられ起き上がるの繰り返し。

腕立て・腹筋・背筋・スクワットを緩やかに続けている様なもの。


約7時間の腕立て・腹筋・背筋・スクワット

いったい何回やったことになるのやら。そりゃあつかれます。


稽古相手になって下さった皆様、ありがとうございました。

ほんとは全員の方と組んで見たかったです。


最後に、主催されたOさんとスタッフの皆様、本当に色々とお世話になりました。

有難うございました。

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