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執筆者の写真田中 利幸

コロナ禍の稽古の様子

 感染予防の観点から、いろいろと工夫した結果、当会の稽古の様子が以前とはずいぶん変わったと思っています。

 いつの日か、『そういえば、そんなこともしていたな~』と懐かしく思える日が来ることを願って、現在の状況を書いておこうと思います。


①服装がかわった

 感染予防のためにマスクをつけて換気をしているため、夏はとても暑く、冬はとても寒いという状況になりました。

 そこで、稽古の服装は自由として、夏場はTシャツで稽古したり、冬場は防寒着と靴下を履いて稽古をしています。

 子供たちの中には、寒いのにTシャツの子や、暑いのに靴下を履いている子もいて、なかなか個性的です。

 佐久道場で販売されている通称『佐久Tシャツ』は、私の道着として大活躍しています。


②掃除がかわった

 稽古前後の掃除のしかたを変えました。以前は箒で掃くのがメインでしたが、ウイルス等が舞い上がる可能性を考慮して、箒ではなく自作のモップを仕様しています。

 木板で造ったモップにキッチンペーパーを巻きアルコールを浸して畳を拭きます。ふき取られた汚れを見て、今までの掃除のしかたは甘すぎたのかなと反省するほど汚れが取れます。

 さらに、コードレス掃除機を併用して、モップからこぼれたゴミ等を吸い取ります。結果的に掃除の効率がUPした様です。


③来訪者がかわった

 以前は、ビジターを受け入れていましたので、月に何度かはビジターの方々がいらして下さり、より活発な稽古ができていました(今となっては遠い思い出)。

 しかし、コロナ禍以降は、ビジターの受け入れを中止しており、新規入会を検討するための見学と体験のみ慎重に受け入れる様にしています。

 でも、夏場の朝、道場に入ると数匹のカナブン(来訪者)が床を這っているのは今も変わりません。カナブン達は外へ逃がし、弱っている者にはティッシュにスポーツドリンクを浸したものを与えたりして和んでいます。

 カナブンはかわいいです。


④いろいろかわった

 扇風機・・・稽古中は、工場用扇風機数台を用いて道場奥まで換気できる様にしています。多い時には扇風機を7台稼働させたこともあります。

 稽古前後の礼・・・また、稽古開始時と終了時の礼を行う時、ソーシャルディスタンスを保つために、特に子ども達には自由に広がる様に伝えたところ、皆思い思いの場所で礼をしています。中には、私よりも前に座って礼をしている子もいます。子どもはかわいいです。

 手指消毒・・・道場中にアルコール容器を複数置き、相手を変える際や水分補給前は手指を消毒する様にしています。頻繁に消毒を行うので掌がビショビショになります。酔っぱらいそうです。


⑤稽古内容がかわった

 最も変わったと感じるのが稽古内容です。

 冬の寒さ対策として、稽古始めに『5分間のその場でジャンプ』等、1人でできるいろいろな運動を取り入れました。

 暑い時には『30秒の片足立ち各種』『おてだま各種』『棒立て』など「これはいったい何の道場か?」と思われてしまいそうなことも行いました。

 また、以前は武器の稽古をしようとしてもちょっと触って終わっていましたが、コロナ禍となってからは、武器をとことん触りました。素振りから初めて組打ち、そして武器取りも行って来ました。

 合気道では、通常は刀であれば正面打ち、杖であれば突きがメインですが、それだけでは間がもたなかったので、足でもどこでもどんな風にでも武器を振って武器取り等の稽古を行いました。

 最近では、息遣いが粗くなることを防いだり、頭部が地面に近づくことを減らす目的で『投げない稽古』を行っています。

 合気道の『投げて終わる』という常識を破ることで、体力を温存した稽古、妥協して自ら転んでしまう受身をしない稽古になっていると感じています。


 こんなことを、緊急事態宣言での稽古休止時を挟みながら試行錯誤してきました。

 今後の課題としては、5級以上の審査ができていませんので、感染予防を徹底しつつ、これを進めていくことがあります。


 (2021年10月17日)


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