明日からの、7月1日~2日の2日間に掛けて、東京リバーサイド合気道会主催の「第弐回 合気道と日本武道文化祭・夏」が東京武道館で開催されます。
縁あって、私は1枠分の稽古の講師を担当させていただくことになりました。
主催者様より各担当者に稽古のテーマを設定するように要請があり、私は「ほぐし、練り、整え、調和する」というテーマを選びました。
そこで、稽古にさきがけて、このテーマについてここで解説させて頂こうと思います。
<基礎概念1:自己と環境>
自己とは自分の内側、環境とは自分の外側のことです。
相手も環境の一部であり風景の一部にすぎないものとみなします。
自己と環境はいつも相互に支え合っていて単独で存在するものではありません。
釣り合いを保っていた自己と環境の関係に変化が起こると、互いの関係に乱れが生じますが、やがて時と共に乱れは収まり再び新たな釣り合いの状態へ至ります。
【釣り合った状態】⇒【変化の過程】⇒【(新たな)釣り合った状態】⇒【変化の過程】⇒・・・
稽古とは、この【釣り合った状態】(=静)と【変化の過程】(=動)においての最善の姿を模索する取り組みのことであると考えています。
<基礎概念2:自由度と選択>
私達は様々な局面で選択を行っています。
選択肢の数は自由度であり可能性を示しています。
柔かさにより選択肢の数を最大にする(自由度最大)ことができると考えます。
また、数ある選択肢の中から最善の選択肢を最速で選択することが理想です。
この最速最善の選択は、思考によってではなく、美意識によって実現するものと考えます(芸)。
【選択肢数の最大化】 と 【最速最善の選択】
<状態その1:整った自己>
まず初めに、最も大切にしていることとして自由で楽な自己があります(環境と釣り合っている状態=静)。
背筋を伸ばし、肚を締めた上で他を弛緩させて、穏やかで深い呼吸をしているような気持ちの良い整った状態です。地面に対して真っすぐ立っています。
静かなところで1人でたっていればとても平和な状況であり、いつまでもそうしていたいと感じる理想的な状態です。
<状態その2:乱れる自己>
そこに相手が現れます。相手が自分に対して掴んだり打ったりしてきます。
また、それに対して応じる為に自身で何かしようとします。
そういった、 「相手が何かしてくる」 ことや 「自身がなにかしようとする」 ことで、整っていた自己に乱れが生じます。
<状態その3:自己を整え直す>
自己の内の乱れを見つめ、その乱れを整え直していきます(変化の過程=動)。
今回のテーマである 「ほぐし、練り、整え、調和する」 はこの状況に関係しています。
① 『ほぐし』 自身の固いところを1つ1つ見つけ出してはほぐしていきます。
自己の中の、固い所を”こねて”ほぐします。
まず、身体の固さ・強張りを解消していき、次第に心の固さ(恐れ、驚き、戸惑い、疑い)とも向き合います。
② 『練り』 相手(パートナー)と互いをほぐしつつ練り合って粘りを鍛錬します。
自己にとって特に影響力の大きい環境は”相手”と”地面”です。
相手および地面との接触を柔らかく行います。地面にまっすぐ立ち、相手にまっすぐ立ち(向き合い)ます。
相手との接点を”こねて”柔かい関係を築きます。
結果や効果をねらったり計画するのはよくありません、環境と状況に身をゆだねる捨身の姿勢で臨みます。
③ 『整え』 様々な環境・状況で乱れた自己を整え直しつづけます。
ほぐして練ることで、まるで水がいちばん深い所へ流れつく様に再び安定した状態に至ります。
地面と相手に対して釣り合っていて楽な状態です。
④ 『調和する』 パートナーを含む周囲の環境と自己とが調和し互いを支え合っている状況に至ります。
整え続けることで、刻々と変化する環境に調和していきます。
以上が今回のテーマについての説明です。
怪我や熱中症がなく、参加者全員に楽しんでいただける稽古になれば幸いです。
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