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執筆者の写真田中 利幸

「どうして君は、他人の報告を信じるばかりで、自分の目で観察したり見たりしなかったのですか」

「どうして君は、他人の報告を信じるばかりで、自分の目で観察したり見たりしなかったのですか」


これは、息子が幼かった当時に、書き方教室の展示作品の題材に選んだ言葉で、今もこの息子の作品は我が家に飾られています。

ガリレオ・ガリレイの言葉とのこと。私はこの言葉がとても気に入りました。この言葉を選んだ息子も素敵だと思います。恥ずかしながら、私はこの言葉を息子の作品から初めて知ったのでした。数年前のことです。


「どうして君は、他人の報告を信じるばかりで、自分の目で観察したり見たりしなかったのですか」


当時の権威であるローマ教皇庁が天動説を信じることを強制し、意義を唱える者は火あぶりにされることさえあった中で、ガリレオは地動説を信じ続けました。なぜなら彼の目で観察したり見たりした天体は、地球が自転していることを示していたからです。

現代になって、彼は「科学の父」と呼ばれるようになりました。


「どうして君は、他人の報告を信じるばかりで、自分の目で観察したり見たりしなかったのですか」


噂や迷信、権威や慣習に惑わされず、真実だけを正直に見ることができる目と心を持ち、そこから真理を解き明かす冷静な頭脳を持ちたいものです。

合気道の稽古は師を真似ることから始まりますが、真似ているだけでは「他人の報告を信じるばかり」の段階です。師の技を真似てみて、そこに自分なりの解釈を与え、工夫を重ねて変化することを繰り返すことで、それは真似では無くなり「自分の目で観察したり見た」ことで得た自分の技になるのだと思います。


「どうして君は、他人の報告を信じるばかりで、自分の目で観察したり見たりしなかったのですか」


どうして君は、他人の技を真似るばかりで、自分の頭脳で考えたり工夫したりしなかったのですか、と私自身に問いただします。

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